子どもの発熱


トピックス 子どもが熱を出したら、どうしますか?

 子どもの発熱を経験なさったことはありますか?小さな体や頭がまるで火の玉のように熱くなって、とてもつらそうですよね。できることなら代わってあげたい!とほとんどのママたちが思うことでしょう。大人なら、とりあえず市販の風邪薬や解熱剤を飲んで、食欲がなければ栄養ドリンクをぐぐっと飲んで、あとはぐっすり眠ればなんとか乗りきれますが、子どもはそうはいきません。とくに乳幼児は体の様々な機能が未熟なため、汗をかいて体温調節することもままならないし、脳が未熟なために「熱性けいれん(ひきつけ)」を起こしてしまうこともあります。
 ウチの1歳の娘も実は発熱のためにひどい熱性けいれんを何度か起こしているのです。育児書などで熱性けいれんについては読んでいたつもりだったのですが、いざとなると本当にあわててしまって最初は正しい応急処置ができず、子どもにとてもつらい思いをさせてしまいました。そこで、この失敗をみなさんにはくりかえしてほしくないと思い、今回のトピックスは「子どもの発熱時の対処」について取り上げることにしました。
 そして今回はとても心強い方にご協力を頂きました。土川内科小児科の土川研也先生です。先生には、「土川内科小児科ホームページ」からの引用のお許しを頂いたうえ、私の「子どもの発熱と熱性けいれん体験レポート」に対するコメント、熱冷ましの使い方に関するご指導を頂きました。
 では、子どもの発熱を経験なさった方は復習と確認、まだ経験なさっていない方はいざというときあわてないために、ぜひこのトピックスを熟読なさってください。

[1] 子どもの発熱と熱性けいれん体験レポート(西江麻由美)

[2] 熱さましの正しい使い方(土川内科小児科 土川研也先生)

 まず第一に、熱さましの使い方に関しては、小児科医の間に完全なコンセンサスはなく、熱さましは、一切使わないというドクターもいらっしゃいます。私の使い方や考え方が、皆様のかかりつけのドクターと違っている場合もあると思います。私の考え方を絶対的なものと主張するつもりはありませんので、その辺を御理解頂いた上で下記の記載を参考になさって下さい。

(以下、「土川内科小児科ホームページ」より抜粋)

 熱がでたら熱さましを使わなければいけないなどと言うことはありません。また、風邪の熱だけで脳に障害が残ることはありません。熱にはウイルスの増殖を押さえ、抗体を作る働きがありますので、熱さましはそのじゃまをしてしまうことになります。熱さましを使うと発熱日数が長引くという報告もあります。ですから、熱さましは、38℃以上で、つらそうにしていたら使ってあげてください。38℃以上でも、ケロッとしているような時は使わなくても大丈夫です。熱さましには病気を治す力はなく、一時的に熱を下げるだけの働きしか持っていません。熱が高いからと言って重症であるとはかぎりませんので、熱を下げることばかりに気を取られないようにしてください。また、熱さましは使っても1日2回までが原則ですので、最低でも6〜8時間くらいあけて使うようにしてください。

 熱さましの座薬に関してですが、代表的な熱さましであるアセトアミノフェンの座薬は作用時間が大体4時間程度であるにもかかわらず、用法・容量は1日1回となっており、必要と思われる場合には医師の責任で2〜3回使われています。また、同じアセトアミノフェンの粉の製剤では、小児については広く使われているにもかかわらず、「小児では安全性が確立されていない」となっています。小児科医の間でも、早く何とかするべきであるとの意見が出されていますが、解決されないままでいるのが現状なのです。

 ときどき、熱さましで「座薬はつよいので・・・」ということを耳にします。しかし、座薬だから強いということはありません。同じお薬を同じ量使えば、飲み薬も座薬も効き目は同じです。ただ、座薬の中には飲み薬の2回分をまとめて1回分として使うように作られているものもありますので、強いという印象を与えるのかもしれません。吐き気を伴っているときには座薬を使い、下痢の時や座薬をきらう子の場合には飲み薬を使うのが良いと思います。座薬は量の調節が難しいが常備できるのに対し、飲み薬の場合は量はその子の体重にびったりの量で作れます。一方飲み薬の中で水薬は長くとっておけないなどそれぞれ利点・欠点がありますので、お薬の特徴を生かした上手な使い方ができるようになるといいですね。


土川研也先生、大変参考になるお話ありがとうございました。

土川内科小児科ホームページ 「医学常識ウソ?ホント?」「暮らしに役立つ医療情報」など、私たちに役立つ情報がもりだくさん!中でも「小児科の部屋」では「外来でよく見る感染症」「子供の病気あれこれ」「ホームケアーABC」「小児科Q&A」などがわかりやすく解説されていて、ママたちには必見です!

 土川先生もおっしゃていたとおり、土川先生の御意見がすべてではありません。ただ、私たち素人考えや根拠のないウワサなどで、大事なお子さんの病気の対処を安易に行わないよう気を付けて下さい。とにかく、わからないことは、お子さんの主治医の先生に必ず質問するようにして、その指示に従うのが良いでしょう。