<< マスコミ 逆?!取材レポート TOPに戻る


子どもとインターネット〜長崎県佐世保市小学校6年生殺人事件から考えさせられたこと〜(北海道新聞生活部 中村康利)
中村さん担当の記事はこちら!
*…北海道新聞 朝刊…* 2004/4/13 危険避ける力身につけさせて

*…北海道新聞 …* 2004/5/11 -ベビーカー- 転落防止には5点支持式 手や指の挟みこみに注意


 長崎県佐世保市の小学校6年生の女児が同級生に殺された事件はショックでした。私には2歳の娘がいます。事件の被害者の父親が毎日新聞の支局長で同業者だったからも、ひとごとではないと思いました。自分の身の回りでも似たような事件がおきるかもしれないという不安と、事件の全容が分からないいらだたしさ、ご遺族の情報が次々と届くのに、こちらからは何もできない無力感。遠く北海道にいても、この痛ましい事件を考えると落ち着きません。
 せめてもと思い、事件発覚後、北海道教育委員会と北海道教育研究所、札幌市教育委員会、札幌市の小学校を回り、小中学生へのコンピューター教育についてお話を聞いてきました。

 文部科学省の学習指導要領に従い、道内でもコンピューター教育を進めるため、大半の小中高校にコンピューターが導入されています。 北海道教育委員会によると、道立高校のコンピューターはイントラネットを利用しているので、チャットや掲示板、ポルノなどの有害サイトには接続できません。イントラネット内にある専用の掲示板やチャットに問題のある記述をした場合、管理する教育研究所が送信元の学校と送信時間を特定できます。連絡を受けた学校は問題の記述について生徒に指導、注意できるとのことでした。 札幌市内の小中学校と市立高校は、同市教委の設置したサーバーで、有害サイトとの接続を制限しています。教職員や児童生徒向けに利用規定を定めており、学校内でコンピューターを利用する場合は、トラブルはほとんど起きていないそうです。

 今回の取材を通して分かったことは、学校は、学校内の利用については問題が発生しないよう対策を整えていますが、学校外についてはほどんど指導せず、盲点になっていたということです。 特に小学校の場合、生活、総合学習、理科などの授業で、データを調べるときにコンピューターを使いますが、コンピューター利用の注意点を教えるカリキュラムがありません。中学は技術、高校は情報でこうした点を教えることになっています。
 小学生に限っても、自宅でパソコンを使う子どもは多いはずです。基本的に親が使い方を教えることになるのでしょうが、親がコンピューターについて十分知らないケースが多いのです。 例えば、有害なホームページを見られないようにする「フィルタリングソフト」をパソコンに組み入れると、トラブル防止に役立ちます。ソフトは市販されており、このサービスを提供しているインターネット接続業者(プロバイダー)もあります。 ところが、日本PTA全国協議会のインターネットに関する意識調査によりますと、調査した同会員4800人のうち、7割がフィルタリングソフトを知らず、4割が「親よりも子どもの方がインターネットの知識がある」と答えているのです。 子どもたちが家庭でパソコンを使い、さまざまなサイトに接続しても、学校は気づかず、親は対処できない実態が浮かび上がってきます。

 インターネットなどの情報技術を子どもが使うことを抑えることはできないでしょう。必要なのは、コンピューターを使うことの利点と注意点を教え、ルールを守らせることだと思います。 例えば、財団法人インターネット協会(東京)は、ホームページに子ども向けのルールとマナー集を掲載し、ほかの利用者に迷惑をかけないよう相手を思いやることと、自分の身は自分で守ることを基本にして、具体的な注意事項を掲げています。

 もう一つ、大事なことは、普段の子どもとの関係です。道立教育研究所の担当者からは、子どものコミュニケーション能力、社会性、人間性を築く能力が育ちにくいと言われました。それだけに親は、自分自身のモラルを向上させるとともに、子どもが何か問題を抱えたら、親に相談できるような関係をつくっておくよう、こころがけておくことが大切です。 こういう基本に立ち返りながら、具体的な問題への対処方法を考えていく作業を繰り返すことが求められています。一人の親として、大変なことですが、忘れないようにしたいと思います。

自己紹介
 1989年、北海道新聞社に入社。現在、本社生活部で子育て欄担当。著書は、北海道に先住するアイヌ民族がダム建設で土地を強制収用された問題を追った「二風谷ダムを問う」(自由学校「遊」刊)。現在、アイヌ民族の四季折々の暮らしを毎月一回、紹介する連載「コタン彩時記」を執筆中。北海道新聞社のホームページでも見ることができます。