自転車を安全に安心して利用するために 


トピックス  あん・あん自転車TOKYOキャンペーン 親子自転車交通安全教室

 社会的な傾向として、現在は「連れ去り事件」などの犯罪が注目されていて、一番身近な交通事故についての関心が薄れてきているように感じます。そんな中、日ごろから、当研究所では、自転車の事故について非常に心配しています。未就学児や小学校低学年には、交通ルールについて指導している家庭や学校も多いかもしれませんが、高学年ともなると、やはり「今さら交通ルールの指導はしてません」というご家庭も多いのではないでしょうか?ましてや、自転車の乗り方についての正しい知識がある子どもたちというのは、とても少ないのではないかと思われます。それを裏付けるかのように、都内の自転車の人身事故は、ここ10年ほどで約2倍にまで増えています。
 冒頭にも申し上げましたが、「連れ去り事件」がマスコミで大きく報道されるのに対し、自転車事故などは、あまり大きく報道されないことがほとんどです。しかし、私たちが講演活動で全国の小学校を回ってみると、自転車事故(軽傷例から死亡例まで様々)のお話が意外に多いのです。
 そこで今回は、警視庁杉並警察署の主催で実施された親子自転車交通安全教室を子どもの危険回避研究所・研究員の橋本がレポートしてまいりました。この自転車教室は、東京都が(財)東京交通安全協会などと連携して実施した「あん・あん自転車TOKYOキャンペーン〜自転車を安(あん)全に安(あん)心して使用するために〜」の一環として、5月13日に開催されました。

「あん・あん自転車TOKYOキャンペーン」の詳細につきましては、こちらのページをご参照ください。
 東京都 報道発表資料 [2006年4月掲載] あん・あん自転車TOKYOキャンペーン
→ あん・あん自転車TOKYOキャンペーン リーフレット(PDFファイル)



 今回は杉並区立馬橋小学校で行われた「親子自転車交通安全教室」を取材しました。あいにくの雨降りの日でしたが、たくさんの子ども達、保護者の方々が体育館に集まっていました。学校がお休みの土曜日、元気いっぱいの4年生が自分達の自転車を持って教室はスタートです!

式典
  馬橋小学校の校長先生や、杉並警察署の署長さんのお話を聞きました。
 昨年東京都内での自転車の事故は2162件起きているそうです。 痛ましいことにその中で2名の方が亡くなっているのだそうです・・・。高齢者や幼児が事故に巻き込まれると大けがや死亡事故に繋がるということです。
 自転車は道路交通法で「車両」に定められていますので、交通ルールを守り、マナーを広めて、自転車の点検整備を怠ることなく、事故防止に努めましょうとというお話でした。

 

ゲストトーク
  ゲストの方がお話をしてくれるとは聞いていましたが、誰がくるかは皆さんご存じないようでした。そこに現れたのは・・・「テツ&トモ」のお2人!
 自転車教室の為の「交通安全自転車なんでだろう」を今回のこの教室のために披露。子ども達もすっかり楽しい気分になり、自転車に興味津々な様子でした。


自転車整備点検について
 今度は実際に自転車を隣において自転車整備士さんと整備のポイントを教えてくださいました。

・タイヤの空気圧は適正か?
・ブレーキは効くか?
・ベルは鳴るか?
・後部に反射板はついているか?
・ライトはつくか?
・チェーンの張りは適正か?


など、自転車に乗る前には必ず確認してくださいとのことでした。
壊れている箇所があったらすぐに直しましょう。

自転車の安全な乗り方について
 自転車の点検が終わったら、今度は安全な自転車の乗り方について学習します。
 まずは警察の方が実際に練習用コースを走りながら教えてくださいます。(この練習用コースは本来ならば校庭に作る予定だったそうです。あいにくの雨の為、急遽体育館に作ったそうです。)

練習用コースにはポイントがたくさん。
・一時停止・信号機のある交差点・信号機のない交差点・歩行者優先の歩道・細い道・見通しの悪い交差点・ジグザグ通行・踏み切り・駐車車両の横を通る などです。

説明してくださったポイントをまとめてみました。

●自転車に乗るときには左右だけでなく後ろを確認してから乗る。
●交差点では必ず一時停止
交差点では「右、左、右、後ろ」を確認
●横断帯がない時には自転車から一度降りてしっかり安全確認をしてから渡る。
踏切では自転車から降りて、左右、後ろを確認してから自転車を「押して」渡る。
●路肩に駐車車両があるときには一時停止をして後ろを確認してから進む。

 子ども達も実際にコースを自転車で練習しました。父兄の方や杉並区交通安全協会の方がチェックシートに記入をしながら隣で確認をしていました。

 今回のこの教室を終えた子ども達には「自転車免許証」が配布されたそうです。実際の一般道では、走行する車も歩行者もいるので、くれぐれも気をつけて自転車に乗ってくださいね!



ピーポ君の安全教室
 警視庁のマスコット、ピーポ君も登場して安全教室です。

 子ども達の中から一人に代表で走ってもらい、「ストップ!」と声をかけます。いきなり声をかけても急には止まれずに、つんのめってしまうということを体験することによって、人でさえも急には止まれないので、「車は急に止まれない。」を子ども達も実感できたようです。


 また、幼児用補助座席の使用方法についても保護者に向けてお話がありました。ヘルメットをつけたお人形とはいえ、後部座席からまっさかさまに頭から落ちるのを見て、もし自分の子どもだったら・・・と背筋が凍る思いがしました。

腹話術
婦警さんと腹話術の人形のケンちゃんが今日教えてもらった大事なことを復習してくれました。

・自転車は点検してから乗りましょう。
・交差点では必ず止まって左右後ろを確認。
・ブレーキは左手→右手の順番でかける。
・反射板や反射材は交通事故防止に有効。
・夜出かけるときの服の色に注意しましょう。(目立つように白、黄色。)
・傘、バック、携帯電話など片手運転はいけません!
・暗くなったらライトをつけましょう。

そして・・・もし事故に遭ってしまったらどうしたらいいかも教えてくれました。
・近くの大人に自分の名前、連絡先を伝える。
・ケガがあれば救急車を頼む。
・警察に連絡してもらう。

ときどきおかしなことを言うケンちゃんでしたが、おかげで子ども達も退屈せずに楽しく時間を過ごしていました。

以上で自転車教室は終わりでしたが、帰りにはいろいろなパンフレットや反射材を頂きました。
そして抽選で「当たり」が出た方にはヘルメットのプレゼントもありました。

おわりに
  今回の自転車教室は大変勉強になりました。テツ&トモのお二人や腹話術などとても楽しく、自然に集中して子ども達もお話を聞いていたように思います。
 いつも何気なく乗ってしまっていた自転車も「車両扱い」という事で、安全に乗るように気を引き締められました。取材に同行した我が家の娘達(小1&幼稚園年少)はまだ補助輪付きの自転車なので一般道には出ませんが、交通標識に興味を持った様子です。自転車教室の翌日から「ここは人が優先なんだよね。」とか「とまれだ!!」と標識を見て話しております。親子共々良い経験になりました。


自転車の安全な乗り方についての情報は以下の通りです。ご参照ください。

(社)自転車協会
(財)自転車産業振興協会
この安全基準の内容が図解でわかりやすく解説されています。また、この安全基準を採用しているメーカーの一覧もあるので、自転車購入の際には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
自転車の新しい安全基準 BAA
警視庁ホームページ 自転車の正しい乗り方、 自転車の交通ルール&マナー の他に、「危険予測トレーニング」ができるページもありますので、ぜひ親子で見てみてください。
交通安全
山口県警察 自転車を安全に乗るための必要条件が詳しく解説されています。
参考ページ
・主な自転車の罰則
・自転車に関する道路標識
自転車を安全に乗るために
子育てママの安全自転車生活 まだお子さんが小さくて、親の自転車に同乗させているという方は必見です。
子どもを安全に同乗させるためのポイントがわかります。
家庭でできる
自転車安心メンテナンス
All About 女性と子供のカーライフ
歩行者の通行のジャマをせず、自動車とも共存するためのルールについて、具体例を挙げながら、わかりやすく説明されています。
自転車のルール〜安全な走り方
自転車博物館サイクルセンター 自分に合った自転車を選び方、自転車が守らなくてはいけない交通ルール、自転車乗車のコツ、自転車を長持ちさせるメンテナンスのコツについて、とても詳しく知ることができます。
また、毎年5月と11月には、「自転車安全乗り方教室」を実施しているそうなので、関心がある方はお問い合わせされてみてはいかがでしょう。
楽しく正しい自転車利用のために
国民生活センター くらしの危険 「折りたたみ自転車」は、収納や持ち運びに便利なことや、比較的安価な商品が増えたこともあり、近年販売台数が伸びていますが、「走行中、ペダルが割れたため転倒。肋骨1本を骨折し、肩に打撲を負った」、「歩くぐらいの速度で走行中、フレームが突然折れ、右足首を骨折し、全治4週間と言われた」などの深刻な事故もあるようです。ご注意ください。
折りたたみ自転車が壊れてけが
大阪府教育委員会事務局
教育振興室 保健体育課

大阪府警察本部と(財)大阪府交通安全協会により、自転車に関する交通ルールについてわかりやすくまとめられたリーフレットが作成されていて、このサイトで紹介されています。
自転車に関する交通違反の例を、かわいらしいイラストで解説しているので、お子さんと一緒に勉強するのにぴったりです。(画像をクリックすると詳細を見ることができますが、表示には少し時間がかかるようです。)

「自転車の交通安全ルールブック」

子どもの危険回避研究所より、メッセージ

 今回は、自転車について「交通安全の観点」から、レポートをご紹介しましたが、実は、「防犯の観点」からも注意しなければならないことがあります。

「 自転車に乗っていると、チカンに遭うことはない」と思っていらっしゃる方はいませんか? また、お子さんたちの中には、「一人で歩いて帰るのはコワイけど、自転車なら、暗くなっても、一人でもへっちゃらだよ!」と思っている子たちも多いのではないかと思われます。しかしながら、これは間違いです。

自転車に乗っていると、脇が無防備になるため、通りすがりに胸やおしりを触っていくチカンもいます。
自転車に、乗用車で軽く接触し、子どもにケガをさせ、看病するふりをして体を触ったり、
  子どもを連れ去ったりするような犯罪も起きているようです。

ですから。。。

自転車に乗っている時も、油断せず、前にも後ろにも注意しましょう。
自転車だからといって、暗くなるまで遊んだりせず、早めに家路につきましょう。
自転車だからといって、人通りの少ない道や暗い道などの危険な場所は通らず、
  なるべく安全な道を選びましょう。
そしてもちろん、スピードの出しすぎに注意し、交通安全をしっかり守って走行してください。

参考資料:
犯罪の危険から子どもを守る! 〜 子どもと親の不安を解消する77のヒント 〜 ( 著者:横矢真理 発行:学研 )