警告表示に気をつけて!
〜ミニ四駆の警告表示を調べてみました


マーク
 

 知っていますか。このマーク。
最近、よく、子どものおもちゃについているマークです。上のマークは、折り紙についていたものです。
●おりがみやちよがみ、袋などは食べ物ではありません。口の中には絶対にいれないでください。窒息の危険があります。
●折り上がった作品で危険な遊びを、絶対にしないでください。
●おりがみやちよがみは、薄いので、指などを切らないように注意してください。

と、今さら、言われなくても、あたりまえのことが書いてあります。すっごく過保護な注意だと思いませんか。
 でもこれは、折り紙メーカーの自己防衛策なのです。製造物責任法が96年から施行されました。商品に欠陥があった場合は、メーカー側が責任を問われます。必要な注意事項がなかった場合もメーカー側の責任となります。事故がおこった場合、被害者に対して損害賠償しないといけなくなるのです。
 つまり、上のように書いておけば、もし、おりがみの外袋を口に入れて、子供が窒息しても、それは、注意事項を読まなかった、消費者の責任ですよということになるのです。だから、今さらこんなことをというようなことでも、書いておくわけです。


ミニ四駆で角膜裂傷事件

 

 2,3年前、小学生の間で爆発的にはやった、ミニ四駆。男の子のいるお家なら、何台かあるでしょう?
 1996年、当時11歳の男の子がこのミニ四駆『ビークスパイダー』を机の上に置いて、付属品をつけてバランスを見ていたところ、スイッチを OFFにしていたにもかかわらず、ミニ四駆が突然走りだし、左目に衝突。その結果、その男の子は、 左目の視力が0.01、右目も0.1となってしまいました。
 原因は、『ビークスパイダー』が材質上および構造上スイッチが半接触状態を生じやすく、その結果 突然OFF状態からON状態になって急発進したことが考えられるとのことです。
『ビークスパイダー』の欠陥と、警告上の欠陥(スイッチを切るときは、必ずOFF位置まで移動させること、車体の進路には、顔を近づけないことなどの注意事項が一切かかれてなかった)でメーカーは、この男の子の慰謝料請求の8割、3200万円を損害賠償として支払いました。(「国民生活」1998年 11月号より)  


調べてみました
 

 たしか、うちにもミニ四駆が何台かあったはずです。

マグナム おもちゃ箱をゴソゴソさがして
『ソニックセイバー』,『ビクトリーマグナム』、『サイクロンマグナム』の3台を見つけました。
 『ソニックセイバー』、『ビクトリーマグナム』の2台は、『ビークスパイダー』と同じスイッチ構造です。
これらは、いずれも96年にユウキ(当時小2)が購入したものです。(写真は、ビクトリーマグナム)

oldスイッチ
実際にスイッチをゆっくりONからOFFに移動させて見ました。スイッチがONとOFFの中間地点にあるところでも、電流が流れ、タイヤが回転します。

OFFの状態から、スイッチが すこし、左に移動すると、タイヤが回転することがあります。 カチッと音のするOFFの位置までスイッチを移動させておかないと、 いつタイヤが回転して暴走するかわからないのです。
しかも、タイヤの回転は、超高速。
これは、電池をいれたまま、顔を近づけて、改造していて、何かの拍子に電流が流れたら、大事故になります。  


事故後、どう変ったのでしょう
 

 この事故後 メーカーでは、スイッチについては、ON-OFF状態が明確に分かるようなクリック感のあるものへの変更を検討し、スイッチ形状の研究をしたとのことです。

newスイッチ
そこで、新しいミニ四駆『マックスブレイカー』を購入して組み立ててみました。スイッチ部分の裏の形状は、少し変わっていました。ON,OFFの切り替えが真横でない分、はずみで動くことは、少ないようです。でも、中間地点で、電流が流れるのは、変わりません。

組み立て説明書には、
 ●走らせた後は、必ずスイッチを切り、電池をはずしてください。
 ●コースに顔を近づけたり、のぞきこまないようにしましょう。

などということが 警告マークとともに書かれていました。
 また、説明図のスイッチの取り付け部分にも、 ★ スイッチのON OFFは、確実に!  という注意書きがあります。
 以前の子供向けの3つほどの簡単な注意書きから、6倍の数の18の警告表示がありました。箱のふた裏にも イラスト入りで注意事項がかかれています。しかし、ユウキは、どの注意事項にも気づかなかったようです。
子供が、説明書を読むのは、組み立て方を知るためだけなのです。

 ミニ四駆は、小学校低学年から、購入し、自分で組み立てて、遊んでいます。他にも、モーターの発熱で、やけどをする等の事故も起こっているようです。もっと、スイッチ構造を低学年向けの安全設計にすること、低学年向けのめだつ警告表示が必要ではないでしょうか。


事故を防ぐためには...。
 

 子供のおもちゃは、使う年齢によっては、とても危険なものになります。
おもちゃメーカーは、


対象年齢をはっきり明示する。
対象年齢に応じた、安全設計、説明書添付を用意する。
警告表示は、子供にも目立つようにする。
 
 など、考えてほしいものです。

 最近は、小学生の間で釣りブームですが、釣針による事故も、かなり多いようです。釣り道具もおもちゃやさんで売っていたりします。バンダイの釣り道具 グラインダー武蔵シリーズの警告表示には、10歳未満のお子さまには、絶対与えないでくださいと書かれています。

 私たちも、


おもちゃの箱を開けたら、まず 取扱説明書をよく読んで正しい使い方をする。
禁止されている使い方は、絶対しない。
子供におもちゃを与える前に親が警告表示等をチェックして、注意を促す。
 といった注意が必要です。
 正しい使い方をする責任があるのです。
事故に合わないためにも、警告マークに注意をはらって、ちゃんと読んでくださいね。           

   文 くろだ みか ミニ四駆製作 くろだ ゆうき 1998年12月