子どもが巻き込まれる交通事故事例と対策 


トピックス  子どもが巻き込まれる交通事故、心配なシーンとは?

 昨年、株式会社トヨタIT開発センター様からのご依頼により、研究所スタッフによる「交通安全に関する新システムについて」の座談会を実施しました。→参照: 危険回避見聞録 第15回 株式会社トヨタIT開発センター
 そこからさらに進んで、今年になってから、私たちは、株式会社トヨタIT開発センター様に『歩行者事故低減システム』に関する考察レポートをご提出致しました。この中には、株式会社トヨタIT開発センター様のシステム開発にお役立ていただきたいと思い、ハード面におけるアイデアをご提供させていただきましたが、その詳細につきましては、残念ながらWeb上で公表することはできません。
 そこで、ソフト面における対策を、このトピックスで、皆様にご紹介したいと思います。ぜひ、お子さんへの交通安全のご指導や、地域の交通安全向上対策などにお役立て下さい。



まず、子どもたちにとって、とくに心配なシーンの洗い出しから
 
歩行者事故低減システムを考えるにあたり、実際に子どもたちがどんな危険にさらされているのかについて、改めて考えることが必要だと考え、子どもの交通事故について、具体的な心配事の洗い出しをしました。
 そして、どんな条件がそろってしまった時に事故が起きやすいのか、また、事故の被害が大きくなってしまう条件とはどんな条件なのかを分析し、特に心配度の高いシーンについて、具体的対策を、ハード、ソフト、ハート(心)のそれぞれの視点からアイデアを出してみました。
 そのうち、ソフト面やハート(心)のこもった対策が以下の通りです。

シーン1
青信号で横断歩道を渡っているのに、右折(左折)車にはねられる。
※特に小さい子どもは前方に神経が集中するため、車が歩道前停止を怠ると事故になる。

家庭や地域住民による 対策案
・信号待ちの際は、信号機ばかりに気を取られず、走っている車の動きにも注意を払うよう、子どもに指導する。
・青信号になってもすぐには渡らず、右折車・左折車の様子も確認してから渡るよう、子どもに指導する。(この場合、「青になっても右左」程度の指導ではなく、向かい側の道路から右折してくる車と、右後方から左折してくる車に注意を払わなければならないので、「右前方、左後方の確認」をするように促すべきである。)



シーン2
歩道内を歩行中、もしくは信号待ちをしている際に、子ども同士でふざけあっていたため、車道にはみ出し、はねられる。

家庭や地域住民による 対策案
・子どもたちに、交通安全のルールや事故の例などを映像で見せて、実感させながら指導する。
・他の歩行者や自動車にもかなり迷惑なので、2列はともかく、3列歩行はやめるように注意する。


シーン3
駐車場、学校、幼稚園、保育園などの敷地内から飛び出し、はねられる。
※交差点では注意しているドライバーも、こういった敷地の出入り口では油断している場合もある。
※ショッピングセンターの駐車場、マンションの駐車場からの飛び出し事故も多い。

家庭や地域住民による 対策案
・スクールゾーンで走行禁止時間帯を守らない車が多いので、地域住民が警察と協力して取締りを厳しくする。
・学校、保育園、幼稚園などが隣接する道路には、わかりやすいように大きい表示を出す。
その場合、地域住民と子どもたちで手作りするなどすると、地域住民と子どもたち自身への啓蒙にもつながる。


シーン4
夜、無灯火の自転車で歩道のない車道の路肩を走っている時など、自転車に気付かない車と接触してしまう。

家庭や地域住民による 対策案
・自転車に乗る子どもたちは、暗くなる前に帰宅することや、帰宅が夕方以降になる場合は必ずライトを点灯させること、自転車に反射材などをつけること等を、家庭や学校で積極的に啓蒙していく。
・夕方以降の外出時には、ズボンや上着に反射材が付いている物を着用させる。



シーン5
狭い路地や車が通行可能な商店街などで、足(足の甲など)をひかれる 。
※身長の低い幼児の横を車が通る際、子どもの足が車側をむくと足の上をタイヤが通り過ぎる。
※子どもは車との距離を考えないので、後ろの子を振り返ったり、車の方を向いたりする。

家庭や地域住民による 対策案
・商店街の道路の買い物時間帯は、車両通行止めにする。
・スクールゾーン内の狭い路地の登下校時は、車両通行止めにする。
・通学路に狭い路地が含まれている場合は、他に安全な道がないかどうか、通学路の再検討をする。