幼児用自動車・幼児用三輪車の事故に注意!


トピックス  当研究所に事故例が寄せられました!

   みなさんは、幼児用自動車・幼児用三輪車をご存知ですか?就学前くらいまでの幼児の乗用遊具です。幼児用自動車は自分の両足で地面を蹴って前進させるもので、幼児用三輪車は、いわゆる三輪車に背もたれがついたもので、両者とも「押し手棒」がついているものが多いようです。(詳細は国民生活センターのPDFファイル資料をご参照下さい。)
 もちろんこれらは、各メーカーにより、安全に設計されているのですが、使い方を誤ると大怪我をすることになってしまいます。その実例が当研究所にも寄せられているので、今回のトピックスではこれらを紹介し、みなさんにも注意を呼びかけたいと思います。


[1] 保育園における三輪車事故のケースから学ぶ

裸足で三輪車に乗り、大ケガ!(熊本県 はな・まこのママさん)

 はな・まこのママさんのお子さんAちゃん(当時3歳)は、保育園にて三輪車に乗って遊んでいたところ、ペダルと前輪の間あたりに足を挟んでしまい、左足親指に切断寸前の大ケガをしてしまいました。当時Aちゃんは裸足で、後ろから別のお子さんが押して遊んでおり、保育士は目を離していたとのことです。

このケースから学べること

 ★幼児用自動車・幼児用三輪車は裸足で乗らないこと!
 保育士の方(家庭においては親)は、必ず靴を履かせてから遊ばせるようにして下さい。裸足で乗っていたら、口頭で注意するだけでなく、すぐにやめさせて下さい。

 ★押し手棒は子どもに押させないこと!
 押し手棒は大人が補助するために付けられているものです。一台の幼児用自動車・幼児用三輪車を複数の子ども同士で遊ばせないようにしましょう。

 ★説明書を必ず読み、注意事項は守りましょう。
 当たり前のことのようですが、難しい道具でないかぎり、説明書に目を通さない場合もありますよね。そのようなことのないように、必ず読むようにしましょう。その上で、使い方や構造に疑問を抱いた場合は、速やかにメーカーに問い合わせるか、国民生活センター、各地域の消費者センターなどに相談してみましょう。

 ★保育園の遊具をチェックしよう!
 保育参観などの際、保育園の遊具や生活道具など、いろいろ見せてもらいましょう。そして、何か疑問点が見つかった時は、遠慮なく担任や園長にたずね、その都度、話し合うようにできるといいですね。これは、小学校などでも同じことです。学校を訪ねる機会があったら、必ずいろいろなところを見学させてもらうことをお勧めします。


[2] 家庭における幼児用自動車事故のケースから学ぶ

両親の目の前で転倒、後頭部強打!(東京都 MAYUさん)

 MAYUさんのお子さんBちゃん(当時2歳)は、ある日曜日、両親と一緒に自宅前のコンクリートのスペースで幼児用自動車に乗って遊んでいました。少し前まではうまくこげなかったものの、この頃はグイグイこぐことができるようになり、この日もはしゃいでこいでいました。あまりにはしゃいでいたためか、両足で地面を蹴った瞬間に後の背もたれにのけぞってしまい、そのまま勢い良く後に転倒してしまいました。両親は目を離していたわけではありませんが、3mくらい離れた場所で見守っていたため、転倒する瞬間に支えてあげることはできませんでした。また、その場所は、本当に僅かですが、下り坂でした。幸いBちゃんは意識を失うことも嘔吐もなかったので、病院には行きませんでした。後に別件で脳波検査などもしましたが異常はありませんでした。

このケースから学べること

 ★なるべくコンクリート上では遊ばせない
 できれば、土や芝生の公園や屋内の方が安全でしょう。

 ★大人は至近距離で見守ってあげて!
 目を離さないことは当然ですが、できれば、何かあった時に転倒しないよう、すぐに支えてあげられる距離にいてあげて下さい。

 ★坂道厳禁!!
 どんなに僅かな傾斜であっても、坂道で遊ぶことは大変危険です!!幼児用自動車・幼児用三輪車にはブレーキがないのですから、絶対にやめて下さい!

 ★はしゃぎすぎに注意!
 遊んでいる子どもに「はしゃいではダメ!」というのは無理な話かもしれませんが、過剰に興奮させたり、「よーいドン!!ほら急いで急いで!」などとふざけ半分に気持ちをあおるのはやめましょう。


[3] 幼児用自動車・幼児用三輪車 こんな点に注意しましょう
(国民生活センター発行「くらしの危険」No234より抜粋)

選ぶときに

 ★SGマーク、STマーク付きの商品は、選択の一つの目安
 幼児用三輪車にはSGマーク(製品安全協会が認定)、幼児用自動車にはSTマーク(日本玩具協会が認定)が付いているものがあります。これらのマーク付きの商品を正常に使用中に、その商品の欠陥で人身事故が起きた場合、それぞれ最高1人一億円が支給されます。商品を選ぶときに、これらのマーク付きのものを選ぶのも一つの方法です。但し、SGマーク付きの幼児用三輪車でも、押し手棒は付属品なのでSG補償の対象外です。

遊ばせる前に

 ★外観や組み立てのチェックをしましょう
 自分で組みたててから使うものもあるので、組みたて方法や手順など、説明に従ってきちんと組みたてましょう。また、すでに組み立ててあるものに関しても、外観・組み立てに不良がないかどうか調べましょう。

 ★注意表示をよく読みましょう
 注意表示をよく読んで、使用方法や体重制限などを守りましょう。また、いつでも見られるようにきちんと保管しておきましょう。

遊ぶときに

 ★背もたれや押し手棒などに寄りかかったり体重をかけないようにしましょう
 背もたれや押し手棒なそ、乗り物の上部に重心をかけて、乗り物ごと転倒することもあります。ここには手や物をかけないよう周りの大人が目を配るとともに、子どもにも充分言い聞かせましょう。商品によっては、不必要な時は、押し手棒を取り外すよう表示されている物もあります。

 ★小さな力でも倒れることがあるので注意しましょう
 テストの結果、小さな力でも倒れるおそれがあることがわかりました。また、子どもは頭の方が重いため、ふとした拍子にバランスを崩すこともあるので、周りの大人がよく気をつけましょう。また、踏み台にしたり、二人乗りするなどの危険な乗り方をしないように注意しましょう。

 ★段差があるところや坂道では遊ばせないようにしましょう
 階段から落ちたり、道路のちょっとした段差なども、転倒・転落する危険につながります。また、坂道ではバランスを崩して転倒しやすいと言えます。平らで段差のないところで遊ばせるようにしましょう。  


推薦書籍

「くらしの危険」

国民生活センター編、主婦の友社発行 1000円(税抜き)

国民生活センターが1977年から発行している「くらしの危険」というパンフレットの中から、近年8年間・46本の「モノ」と「危害」を収録した単行本です。今回のトピックスで取り上げた幼児用自動車・幼児用三輪車の情報の他にも、「シックハウス症候群」「クーハンからの転落事故」「かぜ薬の副作用」なども取り上げられています。