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キャンプ場での悲しい事故 (KAWAI)


  2005年4月30日、千葉県君津市にある『千葉県立清和県民の森』のロッジ村に(当時)8歳と6歳の息子2人を連れて家族で泊まる予定でした。ロッジ村はとても整備されており、楽しい雰囲気に包まれていました。

荷物を置いた後、去年購入したガイドブックに載っていたアスレチックを楽しみにしていたので、「行ってみよう」ということになりました。管理事務所でもらった地図にはアスレチックがなく、主人と子ども2人が聞きに行きました。私が荷物を整理して1〜2分で追いついた時、主人のそばに子どもたちがいませんでしたが、私たちの後ろに子どもたちが10人ほど遊んでいたので、その中にいるだろうと思っていました。結局アスレチックは何年か前になくなっていたことわかり、子どもたちを探すと見当たりませんでした。子どもたちは自分たちだけでアスレチックを探しに行ってしまったようでした。

 すぐに子どもたちを探し始めましたが、私たちは着いたばかりで土地勘が無く、携帯電話も圏外で使用できませんでした。ひとつの山自体がキャンプ場になっている中を、主人は車、私は歩いて探しました。当日は足場が悪く、よく足が滑りました。歩いてみると、事前に読んだガイドブックから思い描いていた情景との違いに愕然としてしまいました。川遊びを楽しみにしていたので探しに行きましたが、絶対に来ていませんようにと祈るほどとても危ない場所でした。事務所の方にも探してもらいましたが無線はありませんでした。

 兄弟は、二人で道幅の狭い遊歩道を歩いている途中で、40m以上の崖から下に転落していました。弟は木の葉の間からやっと顔が見え、崖の下のほうにある木につかまっていました。兄は木の生えていない岩肌から川に落ちてしまい、頭蓋底骨折、頚椎骨折による即死でした。兄がずっと弟を呼び、見えないながらも兄弟が言葉を交わしていたようで、かすかに聞こえる声を頼りに弟を見つけられたのは、“お兄ちゃん”のおかげだと思っています。

 崖の上という危険な場所にフェンスも柵もロープも無い場所からの転落でした。なぜ、県の施設で人がたくさん利用している人気の遊歩道が丸裸の状態だったのか、理解できません。弟が見つかったとき、ガーゼなんて置いてないと言われ、びっくりしました。バーベキュー場もあるのに、救急箱には何が入っているのかと思いました。事故が起きた次の日もそのままの状態で営業し、私たちはとても憤りを感じました。警察にロープや危険の表示をして欲しいといったところ、次か次の日にやっとロープ2本と表示がされました。私たちのこどもの死が全く無駄にされていると思いました。“柵は景観を損ねる”とも言われました。景観より人命が優先されてしかるべきだし、そうでなければ家族向けにロッジ村を開いたり、ガイドブックに載せたりするべきではないと思います。私たちのこどもは、あるはずなのに無いアスレチックを探し、ありそうな遊歩道(木の階段・上りきったら柵は無くなり幅1メートル、左手は崖の道が続く)を上っていって落ちました。

 私たちは今、管理者の安全管理意識にかなりの疑問を抱いており、またこのようなずさんな管理が許されているという事実に強い怒りを感じます。私たちのような不幸な事故が今後起きないよう、安全管理のガイドラインを国が示すべきではないかと思っています。条例に基づき県民の森が造営されたと伺いましたが、その条例も非常にあいまいだと警察に言われました。確かに安全管理はして当たり前、しなくても何も起きなければこれでいい、では安心して利用できないのではないでしょうか。本来なら、安全ランキングをつけておいてもいいと思います。そうすれば、少しはあせって何かしらの危険防止の手段を考えていただけるのにと思わざるをえません。“広すぎて柵はつけられない”とおっしゃるのなら、“管理できる部分でキャンプ場を経営”していただきたい。

 どうか、今後このような事故が起きないよう、管理する側の意識向上と、使用する際の自然の危険性を皆様に届けていただきたいと思います。