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子どもの食生活が危ない(白井操子)


 最近、青少年の犯罪が増加している。「キレル」という言葉は、流行語にもなった。その「キレル」原因のひとつに、清涼飲料水などによる糖分の摂取量が大きく関係しているという研究結果が報告された。また、子どもの高コレステロール・中性脂肪も大人並に増えているらしい。

 日本人の食生活は、戦後大きく変わった。スーパーに行けば食料品は溢れているし、ファーストフードなど手軽に食べられるものも増えた。こういった食料事情の変化の中で、子どもたちはどんな影響を受けているのであろうか。

 私の周りにも、すでに子どもがいる友人が多いが、その中でよく耳にするのが「アトピー性皮膚炎」である。「アトピー性皮膚炎」とは、アレルギーの一種であるが、その原因の一つに食物の残留農薬や、食品添加物などの問題が挙げられている。子どもたちの大好きなウインナー・ハム・果物などあらゆる食品に食品添加物は使用されている。合成保存料、合成着色料、酸化防止剤、漂白剤と、数を挙げるときりがない。このような食品添加物を使っていない食品に切り替えたところ、。「アトピー性皮膚炎」の症状が軽くなったという報告が数多くある。現在「アトピー性皮膚炎」などの症状が出ていなくても、これだけの添加物を子どもの頃から摂取し続けると、いったいどんなことが起こるだろう。将来、ガンや何らかの機障害が出てくることは容易に想像できる。
 また、現在食品のほとんどが輸入に頼っている。この輸入食品も、日本で認可されていない食品添加物や農薬を使用していることもあるそうだ。このような輸入食品が容易に入り込んでくる一番の原因は、検疫の甘さにあると言われている。そして、そんな現状はひた隠しにされていて、つい安いからと購入してしまいがちだ。

 最近、ニュースや新聞でも耳にすることが多い「環境ホルモン」。ダイオキシンなどの有害物質の多い土壌で作られた農作物や、電子レンジでチンするだけの冷凍食品のトレー、ラップなどを加熱した時に発生するというデータが明らかになっている。こういった「環境ホルモン」は人間の細胞などに大きく影響する。近年に見られる少子化は、この「環境ホルモン」による男性の精子の減少が原因の一つと言われているが、それにしてもこれだけ恐ろしい現実が待っている世の中で子どもを産むのを躊躇する人もいるに違いない。

 こうして見ると、子どもを取り巻く環境の中で、今最も危険なのは「食品」と言えるかもしれない。なぜなら、子どもは食材を自分で選べないのである。大人が与えてやらなければならない。私たち大人が安全な食物を作り、消費者となった時選ぶ目を持たなくてはならないということだ。

 では、どのような食品が安全なのか。
 例えば、野菜なら旬のものが農薬が少ないと言われているし、魚なら外洋性のものが公害の影響が少ないと言われている。また、食品添加物や農薬の量を極力減らすよう企業努力しているスーパーなどを選び、買い物することや、調理の段階でも大人と同様、生活習慣病を防ぐよう、塩分や糖分を控える事も大切だ。
 最近の子どもたちは、塾や習い事で忙しい為、食生活が乱れている。日頃の生活にも見直す部分は大いにありそうだ。

 食生活。たかが食べることと言ってしまえばそれでおしまいだが、子どもの肉体面だけではなく、精神面にも大きく関わってくることなのだ。そして、食品公害とは人間が作り出した物である。そのつけは人間が払わなくてはならない。しかし、その矛先は罪のない子どもたちにも間違いなく向いている。もちろん社会全体で改善していかなくてはならないが、まずは家庭でできることは個人で取り組んでいかなくてはならない。そして、子どもたちにもこの現実を教え、将来、同じ過ちを犯さないようにすることが必要であろう。
 一番身近にあるけれども、なかなか見えてこない危険、食品公害。どのくらいの大人が自分の子どもにその危険が忍び寄っている事に気付いているのであろうか…。