乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)について


トピックス  乳幼児揺さぶられ症候群について正しい知識を持とう

 乳幼児揺さぶられ症候群は、揺さぶられっ子症候群とも言われていますが、みなさんはご存知ですか?一般的には「強く揺さぶりすぎると赤ちゃんが死亡してしまうこともある」、というような解釈をしている人が多いと思いますが、「強く揺さぶりすぎる」というのが一体どの程度かというのを、正しい知識として知っていますか?

 今回は、特定非営利活動法人 子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク 理事長であり、内科医でもいらっしゃる山田不二子先生から、その正しい知識を教えていただきましたので、みなさんにお知らせしたいと思います。

 山田先生のお話では、「日本では、“高い、高い”や“膝の上でピョンピョンさせる”ことなどでも“乳幼児揺さぶられ症候群 ”が発症するという記載が各種のホームページに蔓延しており、たいへん困っているところです。」とのことだそうです。

“たかい、たかい”で、揺さぶられ症候群は発症する?
 
「0歳児に“たかい、たかい”をすると、揺さぶられ症候群になってしまう可能性があるので危険です。」「赤ちゃんを揺するようにあやすと、揺さぶれ症候群になります。」というような記載を目にしたことがあります。しかし、これは誤った知識だそうで、揺さぶられ症候群は、赤ちゃんを「あやす」目的で揺さぶったり“たかい、たかい”をすることでは発症しないそうです。ですから、揺さぶられ症候群を必要以上に恐れて、赤ちゃんをあやすことができなくなってしまうようなことにならないようにして下さい。
 しかし、幼い子どもに“たかい、たかい”することは、転落の危険性があるので、やめましょう。

揺さぶられ症候群は、どうしたら発症してしまうの?
 
乳幼児揺さぶられ症候群というのは、周りから見て「あんなことをしたら、子どもが危険だ」と誰もが思うほどに激しく、乳幼児が揺さぶられた時に起こる重症な頭部損傷です。(以上、日本小児科学会パンフレット「赤ちゃんを揺さぶらないで〜乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を予防しましょう〜」より抜粋) 頭を自分の力で支えられない赤ちゃんは、頭を強く速く揺さぶられてしまうと、脳が頭蓋骨の内側に何度も打ちつけられて損傷を受けて頭蓋内出血を起こし、視力や知能に障害が起きたり、中には命を落としてしまう子もいるのだそうです。

揺さぶられ症候群にさせないために

★赤ちゃんが泣きやまなくて困ったら、おむつを替えたりミルクをあげたり、落ち着いた気持ちで、いろいろお世話をしてあげて下さい。なお泣き続ける時は、激しく揺さぶったりせず、おんぶや抱っこでリズムをとりながら、ゆっくり揺らしてあげましょう。それでもどうにもならない場合は、少し泣かせたまま安全なところに仰向けに寝かせて様子をみましょう。体調が悪いこともあるので、心配になったら、かかりつけの小児科医に電話するなどして相談しましょう。

★揺さぶられ症候群の正しい知識について、家族や、保育をお願いするかもしれないような人たちに話しておきましょう。男性の強い力で、速く激しく揺さぶることは危険ですので、パパにも話をしておきましょう


★“たかい、たかい”や、車のチャイルドシートに乗せた時の車の振動で、揺さぶられ症候群になることはありません。しかし、乱暴に“たかい、たかい”することは転落の危険があるのでやめましょう。そして、チャイルドシートの誤った使い方(後ろ向きに設置しなければいけない時期に前向きに設置したりすることなど)や乱暴な運転は、揺さぶられ症候群にならなくても、事故の元なのでやめましょう。
※乱暴な運転やでこぼこ道の振動で揺さぶられ症候群は発症しませんが、「硬膜下血腫」を発症する可能性はあるそうです。いずれにせよ、子どもを車に乗せる時には安全運転と、適度な休憩が必要でしょう。

以上、詳しくは、日本小児科学会パンフレット「赤ちゃんを揺さぶらないで〜乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を予防しましょう〜」を参考にして下さい。

※産科を有する医療機関のスタッフの方々へ
特定非営利活動法人 子ども虐待ネグレクト防止ネットワークでは、「SBS予防教育事業」を実施しています。この教育プログラムの目的は、
「全ての新生児の、全ての両親(母親だけでなく、父親および父親代わりの人)に対して、赤ちゃんを揺さぶることの危険性について、退院前に教育すること」です。このプログラムに興味を持たれた方は、下記にご連絡いただければ幸甚です。
特定非営利活動法人 子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク
E-mail cmpn@ams.odn.ne.jp    Tel:0463-90-2715