子どもを「迷子」にさせないで 


トピックス  「迷子」を、甘く考えていませんか?

 もうすぐゴールデンウィーク。連休中にはいろいろなところへおでかけする機会がたくさんあるでしょう。そして大抵はどこも混雑していることと思います。 そんな時に気をつけてほしいのが「迷子」。 「たかが、迷子」と迷子を甘く考えないでください。迷子にはたくさんの危険が含まれているのです。

 迷子になるということは、子どもが一人になってしまうこと。そして、とても不安な気持ちになり、時にはパニック状態に陥ってしまうこと。そんな状態の子どもは事故や犯罪に巻き込まれやすくなります。連れ去り事件の93%は、子どもが一人でいる時に起きていますし(警察庁平成 15年調べ)、親が見えなくなって慌てて飛び出して交通事故に遭ったという話も聞きます。
 以上のようなことを理解して、子どもを迷子にさせないように十分気をつけてあげてください。

 今回のトピックスでは、迷子予防、迷子になってしまった時の対処法、迷子を見つけた時の対処法について、お話したいと思います。


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[1] 子どもを「迷子」にさせないための予防策

 子どもの頃、迷子になったことはありますか?その時の状況を思い出してみてください。そうすると、どんな時に迷子になってしまうかがわかり、そこから予防策を考えることができます。

ここでは、子どもの危険回避研究所に寄せられたアンケートの回答の中の「迷子体験談」 を元に考えてみましょう。


事例 1)
大型ショッピングセンターで、3歳のわが子と離れないようにしていたにも関わらず、子どもが親を一瞬見失ってしまい、焦って探す為に動き回った結果、迷子になってしまいました。 子どもに対してそばに居るように言うだけではなく、常に子どもの視界に入っ ているように心がけています。

予防策●子どもが、大人を見失わないようにしてあげましょう。
 子どもは視野が狭く、大人と同じようには見えてい ません。6歳児の場合、垂直方向の視野は大人約120度に対して70度、水平方向は大人約150度に対して90度しかありません。ですから、大人は子どもを見守っているつもりでも、子ども自身が親を見失い、迷子になってしまった!と勘違いして、パニックを起こしてしまう場合があるのです。
 例えば、混雑しているスーパーのレジに親が並んでいる時、子どもをレジの向こう側で待たせている場合など、列が進んで親の位置が変わってしまうと、子どもは親がいなくなったと錯覚してしまうのです。そして、急にあらぬ方向に走り出したりして、本当に迷子になってしまうのです。

事例 2)
いつも行っている商店街の横の雑木林の小道の分かれ道で、3歳のわが子と 二手に別れたんです。円になっている道で、ぐるっと回って戻ってくると思っていたら、いつまでたっても戻ってこない。おかしいと思い、探しに出ても見つけられず、周りにいる人みんな怪しく見えて、誘拐、痴漢など、悪い ことばかり考えてしまいました。結局娘は私のところへ戻るのではなく、家に向かって横道を逸れて行ってしまった為、家の玄関前で大泣きしていました。 家まで子どもの足で10数分、途中大きな通りや信号のない横断歩道もあるので、 また冷や汗をかいてしまいました。 たとえすぐ近くでも、見通せない場所で子どもと離れるべきじゃなかったと反省しました。

予防策●慣れている場所でも、一人にしないこと。
 3〜4歳児というと、もういろいろなことが一人でできるようになる年齢であり、親も過信してしまいがち。でもまだまだ思考は未熟で、常識も理解できていないことがほとんどだということを忘れないでください。ですから、子どもにいろいろ一人でチャレンジさせつつ、後方から見守るなどし方が良いでしょう。慣れている場所であっても一人にしないようにしてあげてください。
 慣れている場所ということで、親も子も安心してしまうことは大変危険です。「慣れている場所=安全な場所」ではありません!

事例 3)
エレベーターに乗っていて、途中階でドアが開いた際に、2歳の息子が1人で降りてしまい、迷子になってしまいました。幸いお店の人が抱っ こしてくれていたので何も起きずに済みましたが、もし又エレベーターに一人で乗 っていたり、挟まれていたらと思うとゾッとします。

予防策●エレベーターの中でも、子どもと手をつなぎましょう。
 エレベーターの中は密室なので迷子の心配はないと思っていると、ふいにこんなことが起きてしまいます。ですから、手はつないでおいた方が安心です。途中階で子どもだけが降りてしまうことを防ぐだけでなく、ドアに手を挟むなどの事故の予防にもなります。また、小さな子どもだけをエレベーターに乗せるのは絶対にやめてください。「大人がたくさん乗っているから大丈夫」という考え方は誤りです。子どもを本当に守ってあげられるのは、「親」しかいないのです。

事例 4)
3歳のわが子を商店街で迷子にさせてしまいました。 子どもが小さい時は、ちょっとでも離れてはいけないと思いました。「ここで待っていて」といっても、わかっているようで実は全くわかっていないのですね。

予防策●ショッピングセンターのプレイスペースなどで子どもを一人にしないこと。
 最近のショッピングセンターには、子どもたちを遊ばせるためのスペースが、屋内にも屋外にもあります。ここで子どもを遊ばせる際には、必ず大人が付き添わなければなりません。「楽しく遊んでいるみたいだし、周りに人も大勢いるし、大丈夫ね」などと安心してそこに子どもを残し、買い物にいってしまう親御さんをみかけることがありますが、これは絶対にやめてください。こういった場所で連れ去り事件が起こる可能性があるのです。また、遊んでいる最中の事故の心配もあります。(同じく、ファーストフードなどで何かを食べさせながら待たせる、ということもやめましょう)

事例 5)
5歳の長女と1歳の次女をベビーカーに乗せてスーパーで買い物をしていると、5歳の長女がどんどん先に行ってしまいます。それで気がつくといなくなっていることがあります。私はベビーカーを押して、スーパーのカゴも持っているので追いかけることができず、ただただ大きな声で「ちょっと待ちなさい!」と言っているだけで、それでも長女はかまわずどんどん行ってしまうのです。

予防策●ショッピングセンターのプレイスペースなどで子どもを一人にしないこと。
 迷子にしたつもりではなくても、子どもが先に先に行ってしまうことがあります。好奇心から、気持ちも先に行ってしまうのです。そして、ふと気がつくとお互いに見失ってしまうことも。特に階段などで見失ってしまうと、どこの階に行ってしまったかわからなくなり、迷子になってしまいます。 ちょっと前にいると思って安心しないで、先に行かせないようにしてください。 そして、人が多いところや公共の場所などで、ふざけて歩いたり、走ったりしない ことをマナーとして教えておいて欲しいと思います。

事例 6)
スーパーでお兄ちゃんに下の子(4歳)を見てもらっていたのに、お兄ちゃんが目を離したすきに迷子になってしまいました。やはり大人が子どもから目を離さないことが大切です。

予防策●お兄ちゃんやお姉ちゃんに、妹や弟を任せないこと。
 兄弟がいると、下の子を上の子に、ついつい任せてしまうことがありますが、これも実は危険です。いくらお兄ちゃんお姉ちゃんでも、やっぱり子ども。自分が楽しくなってしまったり、何かに夢中になってしまうと、下の子を任されていたことなど、すっかり忘れてしまうでしょう。逆に、下の子を気にしすぎて、自分が事故にあってしまう可能性だってあります。いずれにせよ、何かがあった時に、上の子に精神的苦痛を与えてしまうことになってしまいます。

事例 7)
隣りの家の男の子2人とうちの娘2人とで近所の公園に行くと言って、 (公園まで家から4〜500m)4人で歩いていったので後から追いかけていくと (家の戸締まりなどしていたので1分後くらいでしょうか)公園にいたのは上の娘と隣りの家の子2人の3人だけで、うちの下の娘(3歳)が見当たらず・・・あち こち探しましたがどこにもいなくて、公園の更に向こうの方まで足を伸ばしてみると公園から300m位先の大通りの歩道の所で知らない人に抱かれていました。何でも大通りを横切ろうとしていたとかで・・・そこから先に行かれたら本当に行方不明になるところでした。子どもたちだけで行動させる時も、親は目の届く所にいるべきだと思いました。 大通りを横切ろうとした際、止めてくれた方は「怒らないであげてくださいね。 お名前を聞いたら自分のお名前をきちんと言えましたよ」とおっしゃってくれました。迷子になっても対応出来るように、今は住所と電話番号も教えています。 でも、迷子にしないことが大切な事ですよね。

予防策●誰かが見ていてくれてるだろう、という油断が事故を招きます。
 事例6で「上の子に下の子を任せないように」と言いましたが、この場合は「お友達も一緒」ということで、さらに危険です。
何人かが連れ立っていると、「誰かが見ていてくれているだろう」とみんなが油断してしまい、結局誰も見ていないということになってしまうのです。
 これは今回の事例のように子どもに任せたからというわけではなく、お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃんみんなでおでかけし、誰かが子どもと手をつないでいてくれていると全員が思い込んでいて、結局誰も手をつないでいなくて迷子になってしまっていたことさえ気がつかなかったということもあるのです。
 家庭内事故でも同じことが言えます。例えば誤飲事故などは、家族みんながそろっている団欒の時間(夕方〜夕食)に一番多く発生しているのです。

事例 8)
自分が子どもの頃、お昼寝中にお母さんが買い物に行ってしまいました。目が覚めて、お母さんがいないことに気付き、玄関が開いていたので外に探しに出てしまい、迷子になってパトカ ーで巡回してもらいました。(大きな道路に出てしまいそうだったのを近くの会社 の事務員さんが保護してくれたからよかったけど)一人ぼっちで恐かった記憶 があります。

予防策●家の中にいたはずなのに、迷子に!? 子どもを置いてでかけないで。
 家の中にいると思っていたのに、いつのまにか外に出ていて、迷子になってしまったという体験談もよく耳にします。家の中で家事などをしている際や、出かける寸前の準備でバタバタしている時にも、子どもの様子を気をつけてみているようにしましょう。また、この事例のように、お子さんが寝ている間に留守にするというのは、大変危険なのでやめてください。

★その他の注意事項
 ・ショッピングセンターなどで、子ども一人でトイレに行かせない
 ・行楽の帰り道など、大人も子どもも疲れていると、犯罪や事故に巻き込まれやすくなるので、注意が必要


[2] もしも迷子になってしまったら?

 注意はしていたのにも関わらず、迷子になってしまうということもあるでしょう。そんな時どうしたらよいか、以下のことをお子さんに約束させておいてください。


●あちこち歩き回らないこと
迷子になってしまったと気づいたら、まず立ち止まって、なるべくその場から動かないようにしていてくれた方が、探しやすいのよ、と教えておきましょう。

●店員、警備員、警察官、駅員などに助けを求めること
だれかれかまわず助けを求めるのではなく、なるべく以上のような人に助けを求めるように教えておいた方がより安全だと思います。名前、住所、電話番号を言えるようにしておくことは大切ですが、それを軽々しく口にしないように指導しておく必要があるでしょう。

●携帯電話やGPSが役に立つこともあります
一緒に出かける時など、親が必ず携帯電話を持って、子どもに電話番号を教えておけば、もしもの時に連絡できますね。また最近では、GPSなどをお子さんに持たせるご家庭も増えているようです。子ども用の携帯電話やGPSについては、以下をご参考になさってください。

子どもの危険回避研究所 内 危険回避見聞録
第2回 セコム株式会社 セコムグループ広報室 編 (2002年1月29日取材)
第4回 トヨタ自動車株式会社 IT営業部 編 (2002年6月18日取材/7月3日アップ/8月13日更新)

SECOM 盗難(バイク、車)や、迷子などの対策として位置情報・現場急行サービスが活躍しています。
「子どもに持たせたい携帯するセキュリティ」のページをご参考になさってみてください。
ココセコム
京セラ

子どもにも簡単に操作できるインターフェースと、3つまでの電話番号登録ができるという点が、小学生くらいのお子さんにぴったり。また「ここだよナビ」に登録しておくと、ぴぴっとフォンのおおよそ位置をauの携帯電話から確認することができます。
*近日中に、ぴぴっとフォンモニターのレポートを掲載する予定ですので、お楽しみに!!

ぴぴっとフォン
NTT DoCoMo Business Online 子どもにDLPサービス対応端末をもたせるだけで、迷子の探索が可能だそうです。
DLPサービスで迷子対策


[3] 迷子を見つけたら、どうする?

 子どもの危険回避研究所のアンケートの回答に寄せられる体験談の中で非常に多いのが、「子どもが連れ去られそうになった」 というものです。例えば、「デパートで、ちょっと目を離したら、子どもが知らない人に手をひかれていた」などです。これは、本当に危険だったかもしれませんが、勘違いだった可能性もあります。つまり、親切で迷子を保護しようとして、連れ去り犯だと思われてしまうケースも多いのです。
 そこで、連れ去り犯だと思われないように、迷子を見つけたら以下のような対応をしてあげてください。


●迷子の体に触れないようにする
「どうしたの?」と声をかける際にも、肩に手をかけたりしないよう、少し距離をおいて話しかけてあげましょう。

●まずは、店員や警備員を呼んでくる
とにかく、一番近くにいる店員に、迷子がいることを知らせましょう。

●手をつないで歩かないこと
迷子センターへ連れていく際などにも、手をつながないようにしましょう。